SHISEIDO

世界が憧れる日本の美を、まず日本人に気づかせたい。

対談:キモノブランド「JOTARO SAITO」デザイナー 斉藤 上太郎×資生堂トップヘアメイクアップアーティスト 鎌田 由美子(前編)

2019年10月4日、日本最大級のキモノイベント「きものサローネin日本橋」にて、TOKYO KIMONO COLLECTIONが開催されました。その閉幕直後の舞台裏で、最終ステージを飾った日本を代表するキモノデザイナー 斉藤 上太郎さん、ヘアメイクを手がけた資生堂トップヘアメイクアップアーティスト 鎌田 由美子による対談が実現。ショーを振り返りながら、日本の美(ジャパニーズビューティー)について語り合います。

新しい時代の空気に合う、バランスを追い求めて。

  • 鎌田:
    上太郎さんとのお仕事は、毎回どんな作品が出てくるんだろうとワクワクしているのですが、今回は多様でグラフィカルなモチーフが新鮮でした。テーマは「Balance control」でしたね。

  • 斉藤:
    はい。新しい時代を迎えて、令和だからこそのキモノのバランスとはどうあるべきかを考え、挑戦したテーマです。ここ数年、日本を訪れる海外の方が増えてきていますよね。世界が日本の新しさに触れる機会が増えてきているからこそ、現代のキモノクリエイターである僕が提案するものは、過去のキモノであってはならないと思っているんです。新しい時代の空気をまとうものを提案しなければいけない、と。

  • 鎌田:
    キモノに伝統的なイメージを持つ方も多いと思いますが、上太郎さんの作風はそれらとは一線を画していますよね。

  • 斉藤:
    現代のキモノは、和室や日本庭園だけで着るものというより、もっと都会的なものだと思います。巨大なビルが立ち並ぶメトロポリスこそ、本当はキモノを着る場所。そんな時代にふさわしいデザインを追求しています。

  • 鎌田:
    常に挑戦する姿勢に、私自身いつも刺激を受けています。また、新しいことをする難しさもあると思うのですが。

  • 斉藤:
    そう、新しいものはすぐにはできないんです。長い年月をかけて、オーディエンス含めエンドユーザーに向けて、仕込んでいかなければいけない。「Balance control」はそんな意味も含んでいて、ショーはそれを伝える大切な場だと考えています。

美しさのなかに、どこか「壊す」エッジをイメージ。

  • 斉藤:
    ショーに欠かせないのがヘアメイクなのですが、僕は男性で詳しくないので、どうしても後回しになってしまいます。鎌田さんのお仕事には絶対の信頼を寄せているので、細かいオーダーはしていません。僕の作品を着たモデルを世界一美しくして、ただそれだけ。注文なさすぎるかな?(笑)

  • 鎌田:
    作品にもう世界観があるので、全体を見てヘアメイクアップアーティストとしてできることを探っています。とくに上太郎さんにはしっかりした女性像があって、基本的にいい女が好き(笑)。でもべたべたのエレガンスではなく、ベースはストリート。だからヘアメイクでは、どこか「壊す」エッジの要素を入れて、作品へのアンサーにしたいという意識があります。今回は、ゴールドの髪飾りをアクセントにできないかとご提案いただきました。金属板でつくられた素敵な髪飾りでしたが、特別に用意されたんですよね。

  • 斉藤:
    はい、今回のショーのために、京都の錺金具(かざりかなぐ)の職人さんに特注でつくっていただいたものです。

  • 鎌田:
    ヘアメイクについては、いつもイメージを絵に描くなどしてご相談していますが、この髪飾りも、最後のリハーサルまで調整させていただきましたね。自分のこだわりにとことんこだわる姿勢が、素晴らしいなと思います。

  • 斉藤:
    この髪飾りも、伝統と革新をフュージョンさせるアイテムのひとつとして取り入れたものなんです。僕は自分のショーによって、今までの従来のキモノがすべて古く見えてしまうようなインパクトを与えたい。それくらい「新しい」にこだわってやっています。でも、何でも新しければいいのではなく、大人のお召し物としてここまではOK、ここからはコスプレになるといったバランス感覚が欠かせません。要は、さじ加減だと思うんです。

  • 鎌田:
    上太郎さんはイノベーターですが、根っこにはしっかりとした伝統があり、その上で挑戦をされているからより魅力的なんでしょうね。

続きは後編で。
対談:キモノブランド「JOTARO SAITO」 斉藤 上太郎× 資生堂トップヘアメイクアップアー ティスト・鎌田 由美子(後編)